(株)LEVEL Architects

静けさを感じさせる、
1枚ガラスのような窓建築家も魅了された〈 SEAMLESS 〉

Interview vol.3

「理性と感性が共鳴する至高の日常」を高い技術と洗練されたデザインで提供している開口部のハイエンドブランドNODEA。

PANORAMA WINDOWコレクションの〈 SEAMLESS 〉は障子がフラットに並び、まるで1枚ガラスのような佇まいです。建築家の出原賢一さんはNODEA GALLERYで〈 SEAMLESS 〉を一目で気に入ったそう。出原さんに採用理由や窓に求める性能などについてお話を伺いました。

LEVEL Architectsを主宰する建築家の出原賢一さん

省エネ基準の適合義務がターニングポイントに

――出原さんにとっての理想の窓とは、どんな窓なのでしょうか?

どんな窓が良い窓か、記憶を手繰ろうとすると、窓のフレームのことは思い出せないんですよ。窓の記憶というのは、外側に見える風景の記憶なんだと思います。外に景色が広がり、室内には人がいて、窓はその間にあるもの。窓の存在をほとんど忘れてしまって、その先に広がる景色に意識が向かうような窓というのが、良い窓なのではないでしょうか。意識が外の眺めにフォーカスされるよう設計するのが私たち建築家の仕事だと考えています。

――従来のサッシに対して、どのような不満を感じていましたか?

断熱性能のある既製品は寸法も限られていますし、出したくない場所に方立てなどのフレームが出ることがあり、ノイズになるのが悩みでした。そのため、大開口をつくる場合はアルミやステンレス、木製などで特注製作することが多かったですね。しかし、特注製作だと断熱性能を担保するのが難しい。さらに、2025年4月に建築基準法が改正されたことは、私たち建築家にとって大きなターニングポイントとなりました。省エネ基準の適合化が義務づけられ、性能の担保できない特注製作のサッシの採用が難しくなりました。

周囲の環境によって、内と外のつなげ方を変える

――建築にとって開口部とは、どのような存在だと考えますか?

開口部は内部と外部をつなぐ存在であり、どのようにつなぐかが重要です。つなげ方も2通りあり、内と外をつなげて見せたい場合と、逆に窓によって領域の境界を認識させるような結界をつくる場合があります。
周囲環境によって使い分けており、海辺の別荘のように開かれたビューがある場合は、内外のつながりをつくることで心地よさを得られます。ただ、私たちは都市部での計画が多いので、開かれたビューが得られることの方が少ない。周囲を建物に囲まれた都市部では、一旦壁で囲って閉じ、その中で気持ちの良い空間をどのようにつくるかを考えます。

NODEA GALLERYを訪れた出原さんが一目惚れしたという〈 SEAMLESS 〉。障子は最大サイズ幅2m×高さ3m。断熱性能はトリプルガラス、Low-Eアルゴンガス入りで、Uw=1.33W(㎡・K)。水密性JIS W-4等級、気密性JIS A-4等級。

――2027年に竣工する住宅で〈 SEAMLESS 〉を採用されていますが、こちらは都市部の立地なのですか?

そうです。オーナーの仕事柄、防音室が必要でした。防音室は地下にもっていくのが一般的ですが、オーナーは一日のほとんどをそこで過ごすため、リビングの横に防音室を配置し、仕事の合間にホッとくつろげるようなLDKを希望されました。
課題となったのが、周囲に対して壁で閉じながらも、どのようにリビングの居心地の良さと防音性を両立するか。リビングは来客空間としても使われる予定なので、ホテルのラウンジのようなラグジュアリーな雰囲気を感じられる設えとし、リビング横には三角形のテラスをデザインしています。壁に囲われたテラスには上から柔らかな光が降り注ぎ、その印象的な眺めをリビングから楽しむ趣向です。リビングでも防音性能を確保するため当初は二重サッシを採用することを検討し、できる限り細いフレームの窓を探すなかで出会ったのがNODEAでした。

計画中の住宅は、三角形のテラスを配置したユニークなプラン。

(株)LEVEL Architects

計画中の住宅のCGパース。左側にあるのが三角形のテラスで、LDKに隣接する。

デザイン性と防音性能の高さを両立した〈 SEAMLESS 〉

――〈 SEAMLESS 〉のどのような点に魅力を感じて、採用を決めたのでしょうか?

大開口の場合、窓の見付けは細くできたとしても、強度を確保するために見込みも小さくすることは難しい。窓を正面から見るだけなら見込みの太さもそれほど気にならないですが、今回の住宅のプランだと、三角形のテラスを正面より斜めから見るほうが多くなり、見込みの太さが気になってしまうんです。
当初〈 SKY-FRAME 〉を採用するつもりでNODEA GALLERYを訪れたのですが、〈 SEAMLESS 〉に一目惚れしてしまいました。3連の障子が閉じている時は1枚ガラスのようにフラットに納まり、まるでFIX窓のようです。実は最初、室内間仕切りだと思っていたくらいなんですよ。今回のリビングは繊細な素材や質感にこだわっているので、窓に少し凹凸があるとノイズになってしまう。その点、〈 SEAMLESS 〉はフレームが細いうえ、障子全面がフラットに納まるので、そのストレスがありません。
さらに、デザイン性もさることながら、性能の高さにも驚かされました。断熱性や気密性はもちろん、決め手となったのが遮音性能の高さです。当初は二重サッシにする予定でしたが、テラスを囲うコンクリートの壁と〈 SEAMLESS 〉の組み合わせにより、十分な防音性能を確保できると考えました。

高強度のCFRP(炭素繊維強化樹脂)をフレームに採用することで、見付け19㎜、見込み57㎜、ガラス面との段差5㎜を実現。斜めから見ても驚きの細さ。クレセントもなく、セルフロック機構によってロックされる。

なめらかな動きと静かな動作音

――〈 SEAMLESS 〉は開閉の動作も特徴ですが、感想をお聞かせください。

初めて〈 SEAMLESS 〉の開閉を見た時は、本当に驚きました。なめらかに動き、音も静かで、ついつい見入ってしまいます。今回の住宅のリビングは“静けさ”がテーマの一つとなっているので、〈 SEAMLESS 〉の静的な動作は、まさにぴったり。早すぎることも遅すぎることもなく、ちょうどいいスピード感です。
一般的に引き違いサッシは、障子ごとにレールが必要になり、大開口になればなるほど本数も増えて、ノイズになってしまいます。〈 SEAMLESS 〉は障子が前後に並行移動した後、スライドする開閉方式なのでレールが少ないだけでなく、フラップがレールの溝を埋め、内外をフラットにつないでくれる点も素晴らしいと思いました。室内外の床がフラットにつながる場合、水密性が気になる点ですが、それもしっかり担保されているので安心です。

①障子がフラットに納まった状態。 ②左側の障子が前後に平行移動。 ③左側の障子が移動して空いたスペースに右側の障子がスライド。 ④右側の障子がスライドして開ききると、フラップがレールの溝を埋め、室内外をフラットにつなぐ。

――今後NODEAで使ってみたい製品はありますか?

〈 WINDOW G 〉は価格的にも一般の住宅でも採用しやすいので、今後どんどん使っていきたいですね。〈 WINDOW G 〉は今年5月に改良されましたが、改良前もここで見たことがあったんです。ですから今日、改良された製品を実際に見て、見付けも見込みもかなり細くなっていることに驚きました。見付けは50㎜から38㎜に、見込みは43㎜も小さくなっており、かなり印象が違いますね。
NODEAの製品は色を自由に選べるのも、設計者としてありがたいです。黒のフレームだと強い印象になってしまうことがありますが、NODEAはグレー系など色のバリエーションが豊富なので、インテリアに合わせて選ぶことができます。今回の物件でも〈 SEAMLESS 〉は塗装部分を周りに合わせた色で仕上げてもらう予定で、竣工は少し先になりますが、どんな空間になるのか今から楽しみです。

  • 出原 賢一

    Kenichi Izuhara

    1974年神奈川県生まれ。芝浦工業大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。納谷建築設計事務所を経て、2004年に中村和基とともにLEVEL Architectsを設立。2024年株式会社LEVEL Architects一級建築士事務所として法人化。住宅を中心に、店舗やオフィスなども手がける。